非常用エレベーターの設置基準

床面積に対する非常用エレベーター(昇降機)の設置台数、乗降ロビーの寸法と構造の解説。

◆非常用エレベーター(昇降機)の設置台数規定

非常用エレベーターの設置基準の基本は「31メートルを超える建築物」の場合に適用となる点じゃ。

この非常用のエレベーターは、実際に非常事態が発生した際には非常用エレベーターとして消防隊員が使用することになる。

しかし、平常時にはもちろん一般用のエレベーターとして使用することが可能、と言うよりも一般用としての利用が大半となる。

尚、非常用エレベーターは火災や地震などによって電源供給が断たれた場面でも自家発電機の電力が作動し非常事態であっても消防活動を継続することが可能な設備と規定されている点もポイントじゃ。

1.消防はしご車は31メートルしか届かない?
2.3000㎡単位で設置義務台数が1台増える
3.非常用エレベーターの設置台数を確認する際の注意点
4.非常用エレベーターの設置義務台数早見表

◆消防はしご車は31メートルしか届かない?

非常用エレベーターは31メートル以上の高層建築物にのみ設置義務が定められている。

この31メートルというラインが設置基準となっている理由は一般的に製造されている消防はしご車が31メートルまでしか届かないためじゃ。

その為、31メートル未満の部分に関しては、はしご車から建築物に乗り移ることが出来るように3階以上の全ての階層の外壁面に非常用の進入口を設置することが義務付けられておる。

◆3000㎡単位で設置義務台数が1台増える

非常用エレベーターは高さが31メートルを越える部分のフロアーの中で「床面積が最も大きいフロアーの床面積の寸法」によってエレベーターの設置台数を決める規定となっておる。

原則としてフロアーの延床面積が1500㎡以下の場合は昇降機の設置台数は1台。

更に、延床面積が1500㎡を超える場合は、「3000㎡単位」で設置台数が一台ずつ多くなるように設置義務が設けられておるのじゃよ。

※Point!3000㎡単位で設置義務台数が1台増える

◆非常用エレベーターの設置台数を確認する際の注意点

非常用エレベーターの設置台数を確認する際の注意点は、31メートルを越えるフロアーの中で「最も大きいフロアーの床面積」を基準として利用する点じゃ。

例えば41階~最上階の50階の床面積が7200㎡で42階のみ床面積が7600㎡のような凹凸のある建築物の場合は、42階の7600㎡を適用する。

7600㎡のフロアーの場合は非常用エレベーターを3台設置する必要がある為、この場合の非常用エレベーターの設置台数は最低でも3台以上を設置する義務があるという訳じゃ。

以下に床面積に対するエレベーターの設置義務台数の簡易表を作成してみたのでチェックしておこう。

【非常用エレベーターの設置義務台数早見表】
最大のフロアーの床面積設置義務台数
①1500㎡以下1台
②1500㎡~4500㎡2台
③4500㎡~7500㎡3台
④7500㎡~10500㎡4台

汐留や西新宿の高層ビル街にある建物の非常用エレベーターはいったい何台あるのじゃろうか?

例えば新宿センタービルの基準階床面積は2669㎡となっておる。

その為、最低でも2台の非常用エレベーターを設置する義務があるということがわかるのぉ。