消防法に基づく機械排煙設備の設置規定の解説

建築基準法に基づく機械排煙設備の設置基準、消防法による排煙口、ダクトの設置場所の規定の解説。

◆消防法に基づく機械排煙設備の設置規定の解説

排煙設備とは火災などが発生した際に「煙感知器」「自動火災報知設備」などの消防設備からの信号を受けて排煙機を起動させ排煙口を開き有害な煙をダクトを通して屋外に放出する消防設備のことじゃ。

排煙設備の設置基準は、建築基準法と消防法によって設置規定、及び防火対象物が定められており、それぞれ解釈が異なる部分もある点が設計段階の悩みのひとつでもある。

ここでは建築基準法に基づく機械排煙設備の設置基準、消防法による排煙口、ダクトの設置場所の規定について確認しておくとしよう。

◆消防法の排煙設備設置義務が生じる建築物規定の解説

排煙設備の設置基準は、まず無窓階であることが設置の対象の基準となる点を把握することが必要。

これはもちろん無窓階は、煙の逃げ口がない為であり喚起性能が低く危険性が高いため。

同様に、地下フロアーに関しても一定の述床面積を超えると排煙設備の設置義務が生じるフロア対象となってくる。

ここでは消防法で定められている排煙設備の設置義務が生じる建築物についてチェックしておこう。

【排煙設備の設置義務が生じる建築物~消防法~】
①劇場・集会場 ⇒ 舞台の床面積が500平米を超える場合
②キャバレー・遊技場・車両停車場・車庫・特殊収納庫 ⇒ 地階又は無窓階床面積が1000平米を超える場合
③地下街 ⇒ 延床面積が1000平米を超える場合

◆排煙設備の種類は手動タイプと自動タイプの2種類に大きく分類される

排煙設備にはどのような種類の設備があるのだろうか?

まず排煙設備を分類する場合は大きなカテゴリとして大別すると2種類の排煙設備に分類することが可能である。

この2種類とはシンプルに手動式であるか?それとも自動で稼動する自動式であるかの違いである。

◆建築物の構造や各フロアーによって自動式と手動式が混合しているケース

排煙設備は自動で稼働しなくてはいけないというイメージがあるかもしれないが、実際は建築物の構造や各フロアーによって自動式と手動式が混合しているケースが多い。

ひとつ目の手動タイプの排煙設備はその名の通り人の操作によって起動する排煙設備である。

オフィスビルや商業ビルでは居室の上部に開口部がありハンドル式の手動排煙設備があるのを見たことがある方も多いかもしれない。

そしてもうひとつの自動タイプの排煙設備とは、煙感知器による信号によって排煙口が開く煙感知器連動型の排煙設備である。

◆誤作動の多かった自動排煙設備

以前は自動タイプの排煙設備の性能はそれほど高いレベルになかった為、誤作動を起こすことが多かった。

その為手動タイプの排煙設備が非常に多く見られたものである。

しかし近年では煙感知器の性能も高まり誤作動も減った為、自動タイプの排煙設備が大半を占めるようになってきている。

尚、排煙設備は制御盤によって自動タイプであっても手動で操作する事も可能となっている。

その為、万が一火災による停電が発生し電源供給が経たれた場合でも手動操作で対応することも可能である。

※自動式排煙設備は手動による操作も可能

また、電源供給が絶たれたケースを想定し現在の排煙設備は非常電源設備が設置されており、主電源が途絶えた場合は自動的に非常電源へ切り替わる構造となっている。

◆避難安全検証法の施行事例と緩和措置について

避難安全検証法とは平成12年の建築基準法改正の際に新たに導入された当時としては最新の見識を記した法律である。

この法律が施工された趣旨は「避難安全性能」という概念が母体となっており、防火対象建築物もしくは各フロアー全体が避難安全性能を有するかどうか?を確認し、避難安全性能を有すること確かめられた場合は設置設備の免除が可能となっている。

ここでは避難安全検証法の具体的な事例についてチェックしておこう。

避難安全検証法の施行例を具体的にあげると
●排煙設備の一部適用の免除
●建築内装制限の一部適用の免除
●避難規定(誘導灯・非常灯・非常階段など)の一部適用の免除
 などの事例があげられる。

これらの設置義務がもうけられておる設備を必要最小限の設備に抑えることが可能となれば、
●建築コストの低減
●設計の自由度
 が大きく緩和される事になるのは明らかである。

尚、この避難安全検証法の施行によって設置義務の緩和が図られたメリットがある反面、全ての建築物に対し安全性などが確認されている訳ではなく、今後も幾つかの検証を重ねていく必要性もあることを忘れてはいけない。

◆防煙区画による排煙機の性能規定について

排煙設備の設置に関しては、設置する排煙機の性能の規定が定められている。

この排煙機の性能の基準に関しては防煙区画に応じて、性能規定が設けられておる点がひとつのポイントととなる。

ここでは防煙区画による排煙機の性能規定についてチェックしておこう。

防煙区画による排煙機の性能規定の基準は建築基準法によって原則以下のように定められている。

【防煙区画による排煙機の性能規定】
●消火活動拠点(防煙区画)⇒240立方メートル毎分の空気を排出する性能
※特別避難階段の附室と非常用エレベーターの乗降ロビーを兼用するものにあつては、360立方メートル毎分
●消火活動拠点以外の部分(防煙区画)
①300立方メートル毎分の空気を排出する性能
②120立方メートル毎分又は当該防煙区画の床面積に1立方メートル毎分を乗じて得た量のうちいずれか大なる量の空気を排出する性能